2023年2月となった今もなお勢いを増している投資ブーム。
NISAやiDeco、株式など様々な投資商品がある中で、日銀による金融緩和政策のおかげで幅広い層の方が投資できるようになった不動産投資の勢いが止まるところを知りません。
不動産投資といえば、昔は富裕層の方がされる投資という強いイメージがありましたが、近年では一般の企業に勤めているようなサラリーマンの方でも投資できるほどに身近な投資となったため人気を博しています。
今回はそうした不動産投資の中で密かに注目を浴びている「事故物件への投資」について詳しく解説していきたいと思います。
わざわざリスクを背負ってまで投資する人は少ないと思いますが、上手く運用することができれば利益を大きく膨れ上がらせることもできるそうです。
しかし、ただ事故物件に投資して儲かるという安易な話ではなく、しっかりと購入する物件を吟味しなければ逆に損をしてしまうこともありますので※注意が必要です。
「そもそも事故物件とはどんな物件を指すのか?」
実を言うと、事故物件の定義というものは国土交通省が発表しているガイドライン上においても明確な答えは記載されていません。
参照:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
ガイドライン上でも明確な答えは載っていないものの、事故物件と呼ばれる物件には4種類が存在しており、「心理的瑕疵」・「物理的瑕疵」・「法律的瑕疵」・「環境的瑕疵」に分けられます。
みなさんがよく聞くものとしては「心理的瑕疵」という言葉が一番多いのではないでしょうか?
まずはそれぞれがどのような物件を指しているのかをみていきましょう。
① 心理的瑕疵
事故物件の中でも代表的とされているのが「心理的瑕疵」です。
この心理的瑕疵を簡単に説明すると、「知っているか知っていないかで心理的な抵抗が生まれ、そのせいで住みたくないと思ってしまう物件」を言います。
【代表的な事例】
・ 物件の部屋の中、または敷地内で死亡した人がいる
・ 過去に火災等が起こったことがある
・ 墓地が物件に隣接している
心理的瑕疵の判断は特に難しく、その理由は買主や借主によって気になる人と気にならない人がいるためです。
墓地が隣接している物件でも気にならないという方は、割と多くいらっしゃるのではないでしょうか?
また死亡した人がいると言っても、その亡くなった状況等によっても判断は変わると思います。
他殺や自殺とは違って、病気などによる自然死であれば気にしないと言う方も割と多い印象を受けます。
② 物理的瑕疵
物理的瑕疵とは、「建物や土地自体に何かしらの不都合がある物件」を言います。
建物でいうと雨漏りや耐震強度の不足等があったり、土地でいうと土壌汚染や地盤が緩い等が挙げられます。
ちなみに経年劣化によるものは物理的瑕疵には含まれませんのでそれ以外ということになります。
③ 法律的瑕疵
法律的瑕疵とは、「法律によって建物や土地に建築制限が課されている場合や、自由な取引が阻害されているような物件」を言います。
代表的な事例でいうと、市街化調整区域による制限や、建ぺい率や容積率による制限等が挙げられ、こうした法律の制限によって自由に建物を建てられず土地を有効活用できない建物や土地です。
④ 環境的瑕疵
環境的瑕疵とは、「建物や土地自体に問題はないものの、近隣の建物や環境によって日常生活に支障がある物件」を言います。
近隣にゴミ焼却場や廃棄物処理施設があったり、騒音・振動・異臭・眺望障害などが挙げられます。
以上の4つが「事故物件」と呼ばれているものです。
基本的には日頃よく聞く心理的瑕疵だけを気にされる方も多いと思いますが、こうした他の瑕疵についても併せて知っておきましょう。
事故物件の定義は難しく、個人によってその捉え方は大きく異なります。
また冒頭でのガイドラインによれば「取引の対象となる不動産において自然死や、日常生活の中で生じた不慮の事故(転落や転倒事故、溺死、誤嚥など)による死については、原則として告げなくてもよい」とあります。
上記のような死は日常生活において当然に予想されるものであり、賃貸借取引及び売買取引いずれの場合も告げなくてよいとされています。
その点も踏まえて次項では、密かに過熱化している事故物件への投資術についてみていきましょう。
「事故物件への投資は儲かるのか?」
ここ最近の不動産投資ブームによって、アパートやマンションなどの不動産価格は高騰しています。
投資家という観点からみると、できるだけ安い時に物件を購入して高い時に売却するキャピタルゲインを狙うような投資が望ましいですが、現状でいうと価格が高騰してしまっているため、そうした投資で儲けるのは困難です。
仮に投資するとしても都心の駅近で値崩れしにくいマンション等に長期投資することによってインカムゲインを狙っていく投資が現在の主流です。
本来、不動産投資とはマンションやアパートなどの部屋を購入し、他人に貸し出すことで家賃収入を得る投資であり、この投資によるリターンを大きくするためには、「物件価格をできるだけ安く購入する」、もしくは「家賃を高く設定する」2つの方法があります。
先でも説明したように物件価格は既に高騰してしまっているため、普通の物件であってもコネがない限り安く購入することはできないでしょう。
そこで近年、注目を浴びているのが「事故物件が理由で値下がりしている物件への投資」です。
事故物件となってしまった物件は、普通の物件と比べて購入価格が1〜2割ほど安くなっていることが多く、物件を安く購入することができれば必然的にリターンは大きくなります。
一つ注意点としては、購入価格が安くなっているのと同様に、家賃も低くなってしまっている点です。
どれだけ物件を安く購入できたとしても「入居者がつかない」・「家賃が低すぎる」といった物件になってしまうと大きなリターンは見込めず、むしろマイナスとなってしまうこともあり得ますので注意が必要です。
【事故物件へ投資する上で大切なこと】
① 「相場の金額よりも物件を安く購入すること」
② 「家賃をできるだけ下げることなく入居者を付けること」
この2つを可能にすることができれば事故物件への投資でも確実に成功しますし、リターンも大きく見込めます。
① 相場よりも安く購入する
まず、基本的に事故物件となってしまった物件は周辺の相場よりも1〜2割ほど安く購入することができます。
事故物件となっている物件には「告知事項あり」という表記があるので、そちらを参考にまずは物件を探してみましょう。
物件が見つかれば、次はどんな理由で事故物件となってしまっているのかを確認します。
その上で賃貸需要がある物件なのかどうかを判断し、売主によっては値切り交渉をすることでさらに安く購入することが可能です。
② 家賃を下げることなく入居者を付ける
一般的に事故物件となってしまった物件には入居者からの需要が少なくなり、入居者が付きにくい状態となります。
しかし、その瑕疵の程度によってはできる限り家賃を下げることなく入居者を付けることが可能です。
そのためには「人気エリアの物件であること」、「軽微な心理的瑕疵であること」が重要になります。
軽度な心理的瑕疵物件とは自殺や他殺などではなく、病気で亡くなられた等のような軽度な心理的瑕疵物件です。
軽度であれば賃貸でそれを気にする方も少なく、これといって入居者が付きにくくなることは比較的考えにくいと思われます。
事故物件へ投資しようと考えられた方は、こうした2点を踏まえて投資してみてください。
「まとめ」
いかがでしたでしょうか?
今コラムでは「事故物件への不動産投資」について解説してきました。
この記事を読んで、事故物件に投資してみようと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん事件性のない事故物件を安く購入して、家賃を下げずに入居者を付けることができれば投資は上手くいくと思いますが、それなりにリスクのある投資です。
大きなリターンは期待できるものの、ミスをすれば大きな損となることもあり得ます。
また亡くなられた方がいる物件を購入するのであれば、その方への敬意は必ず忘れてはいけません。
ただただお金儲けの為だけに投資することは私としてはおすすめできません。
最終的にはあくまでも自己責任で投資はおこなってくださいね。。。