戦争による賃貸物件への被害は保険で補償されるのか?ウクライナとロシアの戦争から学ぶ

アデリーライフがお送りする
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「日本で戦争が起きたと仮定した場合」

こんにちは!アデリーライフ株式会社の井戸です。

今回のコラムでは仮に日本で戦争が起きてしまった場合、賃貸物件への損害は保険で補償されるのか?

また補償される保険は日本に存在するのか?について解説していきたいと思います。

 

ここ最近、テレビで毎日のようにロシアとウクライナの戦争が報道されており、みなさんも目にする機会が多くなっているのではないでしょうか?

「もし日本で戦争が起きたら?」という話ですが、みなさんもご存知の通り、日本国憲法第九条で戦争を放棄している日本では戦争が起きる可能性は限りなく低いと思います。

 

しかし、安倍政権のように国民の意見が反対多数であったにも関わらず憲法改正を強行しようとした事例もあるため、今後も日本が平和であり続けるという先の未来は誰にもわかりません。

今回の戦争を機に考えさせられることは山ほどありますが、その中の疑問の1つであった「賃貸物件は保険で補うことができるのか?」についてお伝えしていきたいなと思います。

 

2022年の2月にロシア軍がウクライナへの侵攻を開始したことは、みなさんもご存知のニュースだと思います。

まさか、こんなにも早く戦争が始まろうとは誰も予測していなかったことでしょう。

 

ちなみに余談の話で理由は割愛しますが、株は戦争が始まったタイミングが買い時で、終わったタイミングが売り時というのは投資の世界では有名な投資手法の1つなんです。

今後、戦争が起きないことを願うばかりですが、投資家にとっては投資で儲かるタイミングの指標にもなっているので、皮肉な話ですが、戦争が起こることを望んでいる人も世の中にはいるのかもしれませんね。。。

 

余談はさておき、今回のロシアとウクライナ戦争の報道を見て、私と同じように不動産オーナーになられている方にとっては、ふと思うことがあるのではないでしょうか?

「もし日本で戦争が起きたと仮定した場合、自分の物件に被害が出たらどうなるのだろうか?」

また今もずっと続いていることで例えると、

「北朝鮮が発射したミサイルが日本に墜落して被害が出たらどうなるのだろうか?」など。

 

上記のような戦争や武力行使による物件への損害について、保険等で補うことができるのでしょうか?

その気になる部分は次項で確認していきましょう。

 

 

「火災保険で補償できるのか?条項からみる補償内容」

まず賃貸物件における火災保険への加入は必須ではなく任意加入です。

そのため火災保険に加入しなくても問題にはなりませんが、もしもの場合には多額の請求がくることになりますので、一般的には多くの方が加入している保険になります。

そして火災保険というのは一棟のマンションでいうと、「マンション管理会社(共用部分)」、「部屋のオーナー」、「入居者」の方が、それぞれ火災保険に加入しているのです。

 

それぞれが火災保険に加入していることで、自然災害や火災等によって物件に損害が出たとしても、それらの保険から補償されることになるため、ほとんどの場合は物件の修理や建替が可能になります。

しかし日本には、「失火責任法」という法律があり、故意または重大な過失がなければ、失火させた者に不法行為責任を負わせることはできません。

 

例えば、下の階の住人が過失もなく火事を起こしてしまい、それが自分の物件にまで被害が及んだとしても、その火元である住人に対して損害賠償を請求することができないのです。

そうした場合は不動産オーナーである自分自身が修理費用を負担しなければなりません。

 

このことから火災保険というのは任意加入ではあるものの、必須で加入しておくことで安心できますし、こうした事例へのリスク対策にもなりますので加入しておくことを強くお勧めします。

 

では本題である火災保険は、戦争や武力行使による物件の損害に対して補償されるのでしょうか?

マンション管理会社やローン会社などによっては、どこの保険会社に加入するのかは指定されていることがあります。

保険内容に多少の違いはあるものの、今回の戦争に関する補償内容については保険会社各社にそこまでの差はありませんでした。

 

このコラムでは、弊社で管理している物件に対して、お世話になっている東京海上日動火災保険を参考に、戦争に関する約款を抜粋してご紹介したいと思います。

 

・第5条(保険金をお支払いしない場合)

当会社は、下表のいずれかに該当する事由によって生じた損害または下表のいずれかに該当する損害に対しては、保険金を支払いません。

【該当項目】

戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱その他これらに類似の事変または暴動

(出典:東京海上日動火災保険「トータルアシスト住まいの保険」)

上記の通り、戦争による損害については火災保険では補償されないということがわかります。

戦争や他国からの武力行使が起きると保険に加入していたとしても役に立ちません。

 

では、仮に日本で戦争が起こったときを想像してみてください。

 

その被害は物件だけに留まることなく、様々なものへと甚大な被害をもたらすだろうと容易に想像できると思います。

そうなってしまうと、保険金の支払いが一気に保険会社へ押し寄せてくるため、保険会社は簡単に倒産することも考えられますし、そんなことよりも戦争が起こってしまえば保険金がもらえるのかどうかを気にする人はいないと思います。

 

こうしたことから日本の各保険会社では、戦争や武力行使は免責事項に設定されています。

また、同社には船舶戦争保険のような保険は存在していましたが、戦争による物件の被害を補償する保険は残念ながら今のところ存在しません。

もし仮に戦争が起きてしまった場合には、物件のことよりもまずは自分や家族の命を第一に優先して行動しましょう。

 

「戦争へのリスク回避は程々に」

今回のロシアとウクライナの戦争を機に、戦争へのリスク対策を講じたいと思う方も世の中にはいるかもしれません。

例えば、国内への投資であっても各地に分散投資をしたり、戦争が起きなそうな国(コスタリカ等)へ投資することも1つの対策として有効なのかもしれません。

しかし、日本国憲法第九条にもあるとおり、戦争を放棄している日本がどの国よりも一番安全に投資できる国ではないかと私は思います。

 

もちろん絶対に戦争や他国による武力行使が起きないという保証はありませんが、戦争を放棄している国に対して武力行使してくる国は北朝鮮を除けば少ないと思いますし、投資する対象としては日本が一番無難なのではないか?と思います。

いつ起こるかもわからない戦争に対するリスク対策を考えるのは程々にして、空室や修繕等のリスク対策をしっかりと講じることの方を大切にするべきです。

 

「まとめ」

ここまでコラムをお読みいただきありがとうございます。

いかがでしたでしょうか?今回のコラムでは戦争による物件への損害は保険で補償することができるのかについて書かせていただきました。

残念ながら戦争による物件への損害について保証してくれる保険会社は、今のところ存在していませんでしたが、

もし仮にそのような保険があったとしても日本で投資する上においては、そのような保険に加入する必要性はほとんどありません。

 

いつ起こるかわからない戦争へのリスク対策を講じるよりも、今後の人口減少に対する空室リスク対策や、金利上昇へのリスク対策を考えていく方が大事だと言えます。

 

今回のコラムを機に、不動産へ投資してみたいと思った方はお気軽にご相談くださいね。

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