賃料増減額請求権とは?オーナーと入居者目線からみる求める賃料の違い

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マンション投資において家賃はオーナーにとって大事な収入源です。

そのため、オーナーは少しでも高い家賃を設定したいと考えるのが普通です。

しかし、入居者からすると安い賃料で住みたいと思うのが普通であり、そのバランスがうまく噛み合わないと入居者が定住せず、賃貸の運営自体が困難となります。

こうした「賃料を上げたい」、「賃料を下げて欲しい」という要望や要求のことを「賃料増減額請求」と言います。

 

マンション投資における賃料の設定は非常に重要なポイントです。

今回のコラムではそうした賃料の設定や増減についてと、仮に入居者から賃料を下げて欲しいと依頼がきた場合には、どのように対応すればいいのか?などをみていきましょう。

 

「賃料増減額請求権とは?」

民法によると、所有する物件について賃料をいくらに設定するのか?誰を入居させるのか?などはオーナー(賃貸人)が自由に決めることができます。

しかし、あまりにも法外な賃料を設定してしまうと入居者も自由に住む物件を選ぶ権利があるため入居者は決まりにくくなります。

そのため、一般的にはその物件周辺の相場に見合った賃料が設定されます。

 

また原則として、当事者は賃貸借契約をしたらその契約内容に拘束されます。

お互いが納得し、期間を定めて賃料を決めた以上は、オーナーも入居者も拘束されるということです。

 

しかし、賃貸は数年〜十数年になることも珍しくなく、周辺の環境や経済動向、建物の劣化などによって当初の賃料が不相当に感じることもあるでしょう。

そこで!賃料の増減に関して、借地借家法第32条では以下のように定めています。

 

【借地借家法第32条1項】

建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。

 

つまり賃貸借契約の当事者は、一方的な意思表示によって賃料を増減することができるということです。

このことを『賃料増減額請求権』といいます。(借地借家法では「借賃増減請求権」という)

 

もちろんオーナーから請求された増減に不満がある場合は、入居者も抗議することはできますが基本的には正当な理由による賃料増減を拒否することは難しいでしょう。

しっかりとオーナーと話し合うことで折り合いを探してみることをお勧めします。

 

「理想とされる賃料」

一人暮らしや同棲する際には皆さんも引っ越しをすると思いますが、どのくらいの賃料を目安に考えていますでしょうか?

よく言われているもので一般的な賃料は給料の手取り収入に対して3分の1程度が理想とされています。

 

例)額面30万の手取り25万と仮定した場合 → 25万 ÷ 3 ≒ 83,000円

 

手取りが25万の方であれば83,000円が理想の賃料となりますが、見栄を張って理想の賃料以上の物件に住んでしまうと生活費が圧迫されてしまいます。

今の時代、将来的な見通しに不安を感じている方も多く、また欠かすことのできない固定費も増え続けていることから、賃料を理想以下に抑えている方が多くなっている傾向にあります。

 

そんな中、オーナーからみる理想の賃料は高ければ高いほど嬉しいものであり、近年ではインフレによる物価上昇、地価上昇も伴って「賃料を上げていこう!」と考えているオーナーの方も少なくありません。

当然、オーナーにも生活があるため物価が上がれば家計は苦しくなり、地価が上がれば固定資産税も上がることになります。

そうすると日々の生活や、固定資産税分を補うために賃料を上げざるを得なくなるというわけです。

 

オーナーと入居者からみる理想の賃料は真逆となるものですが、大抵の場合は周辺にある物件の相場、内装設備の付加価値などによって賃料は決まります。

あまりにも法外な賃料を請求されていないのであれば、賃料増減請求があった場合には従うことになるのではないかと思います。

 

「賃料が上がるタイミング」

賃料が増減するタイミングとして一般的なのは、賃上げの交渉や申し出もしやすい契約の更新時です。

もちろん、賃料を上げるためには入居者も納得する正当な理由が必要になります。

 

正当な理由としては、先でもお伝えしたインフレによる物価の上昇、地価上昇に伴う固定資産税の負担増加、周辺物件の賃料相場上昇、内装設備の付加価値などが挙げられます。

このように正当な理由がある場合には賃料を上げることも可能になりますが、正当な理由のない賃上げは法律の定めにより禁止されています。

もし、不当に賃料を上げられた場合には断固拒否しましょう。

 

契約の更新時に賃料を上げるのが一般的だとお伝えしましたが、入居者の中には「賃料が上がってしまうならこの機会に引越しをしよう!」と検討してしまう方もいるでしょう。

そのため、オーナー側として賃料を上げる最もベストなタイミングは入居者が退去した時です。

 

入居者が入れ替わるタイミングで、周辺の賃料相場を把握し、賃料を少し上げた状態で募集を開始すると問題も起こらずスムーズに次の入居者と契約を結ぶことができます。

しかし、賃料を上げてしまうことで次の入居者が決まりにくいというデメリットもあるため、早めに入居者を確保したいのであれば賃料を上げることは極力しないに越したことはありません。

 

それでも賃料を上げたいというのであれば、内装設備を充実させ、付加価値をつけることが効果的です。

入居される方は条件を付けて賃貸を探される方も多いので、セキュリティがしっかりしている、宅配BOXがあって便利、エアコン付きなどが挙げられます。

近年ではインターネット無料が好まれているので、そちらも付加価値としては効果的になります。

 

オーナーと入居者の関係は良好であることが望ましく、そういった観点からもお互いに寄り添って、納得した上で契約を交わすように心掛けましょう。

 

「まとめ」

賃料増減額請求権とは、オーナーからの「賃料を上げたい」、入居者からの「賃料を下げてほしい」というお互いの要望をまとめたものです。

マンション投資の観点から見ると、双方の主張が折り合わなければ入居者を見込むことができず、結果として空室リスクが増加して投資は失敗に終わります。

 

オーナーにも入居者にもそれぞれ理想の賃料というものがあります。

オーナーとしてはできるだけ物件の場所・設備・環境のどれも整える必要がありますが、これらが一定の条件をクリアしていればいいのです。

入居者がどういったものを望んでいるのか?賃上げする正当な理由はあるのか?こうしたことをオーナーとしては考えなくてはなりません。

 

一人よがりな考え方ではなく、お互いに納得する契約を結ぶことが大切です。

 

 

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