みなさんは今までに火災保険を活用したことはありますでしょうか?
よく勘違いされている内容として、火災保険は火災に対してのみ補償されるのではなく、台風や水害などの自然災害による損害や、盗難や破損などの日常生活における損害も補償されるという点です。
自然災害である台風が通り過ぎた後の外壁修理や、引っ越し中に偶然起こった家電製品の破損なども補償内容として含まれていることがありますので、加入する際にはよく内容を確認しておき、いざという時に最大限に利用するようにしましょう。
火災保険は必ずしも加入しなければならない法的な義務はありませんが、一軒家やマンション、アパートに住んでいる方であれば大半の方が加入しています。
しかし、大半の方が加入しているにも関わらず、火災保険を使用したことがある割合は15%程に留まっており、保険を有効に活用できていないのです。
今回のコラムでは、そうした火災保険の内容について理解していただき、加入しているからには無駄のないように有効活用していただきたい思いから解説しています。
「2022年10月に火災保険は値上げ」
実をいうと、火災保険料は2019年10月、2021年1月と、ここ数年で2度も料金が改定されています。
一部地域を除いたほとんどの地域では、この改定時に保険料が値上がりしており家計への負担として大きくのしかかっていますが、そんな火災保険料がまた値上げされたのです。
値上げと言われると、どれほど値上げされるのかが気になりますよね。
今回の値上げでは、全国平均で参考純率が10.9%引き上げられ、過去最大の引き上げ幅となりました。
参考純率とは各保険会社が保険料を算出するときに目安として使用できる純保険料率のとこを指し、純保険料率とは火災による損害や自然災害による損害などが発生したときに、保険会社が支払う保険金に充てられる部分の保険料率です。
そして純保険料率に保険会社が保険事業を行うための必要経費などを充てられる付加保険料率を加えたものが契約者側で負担する保険料率となっています。
今回の値上げ率10.9%というのは、すべての契約条件(都道府県、建物の構造、築年数、補償内容など)の改定率を平均したものであり、より大きく引き上げられる条件もあれば逆に引き下げになる条件もあるのは確かです。
「値上げの理由」
ではなぜこれほどまでに大幅な値上げとなってしまったのか?
今回の改定に至った主な背景をみていきましょう。
損害保険料率算出機構は自然災害リスクの増加とリスク傾向の反映(築年数の古い住宅の割合の増加)を改定の背景として挙げています。
2019年10月にも2017年度から2018年度に発生した大規模な自然災害の影響を踏まえて平均4.9%の参考純率の引き上げが行われました。
さらに2019年の改定では、住宅の築年数による料率較差も設けられましたが、これは古い住宅ではより多くの損害が発生することが明らかになったためです。
ところが同年、台風15号、19号が襲来したことにより各地で深刻な被害が発生しました。
その影響から支払保険金が2年連続で1兆円を超えるという、過去に例のない事態となってしまったのです。
度々改定が行われてきたにもかかわらず、過去10年の火災保険収支はこうして赤字が続いたこともあり、巨大災害に備えて積み立てられている異常危険準備金の残高も枯渇しているのです。
そして、住宅全体に占める築年数の古い住宅の割合が増加しており、今後もその増加が見込まれることから、リスクの増加を織り込むために保険料の値上げが必要となってしまったのです。
「契約期間が最長5年に短縮」
今回の改定では、契約期間にも変更点がありました。
参考純率が適用できる期間はこれまでの最長10年から最長5年へと5年もの期間が短縮され、これに合わせて各保険会社の火災保険の保険期間も、最長10年から最長5年へと短縮されました。
保険会社からは正式に発表されていませんが、一部報道では大手損保は2022年10月からの契約を対象とするように報じられています。
保険期間を短縮する理由としては、自然災害のリスクが将来に渡って大きく変化していくと見込まれており、長期的なリスク評価が難しくなっているからです。
保険期間を短くすることで保険料の改定を実際の契約に対して早期に反映させやすくするのが狙いです。
実をいうと火災保険は昔であれば最長で36年間の契約をすることができていました。
しかし2015年10月の改定より最長期間は10年へと短縮され、今回の改定では最長期間が5年へと短縮されたのです。
保険期間が短縮されることによるデメリットは以下の2つが挙げられます。
・保険料改定の影響を受けやすくなる
契約者側が影響を受けるのは保険料改定後に新規契約あるいは更新をした時です。
もちろん改定前に契約した保険については、契約期間が終了するまでは契約時の内容のまま維持されます。
・保険料の支払い総額が多くなる
基本的に長期契約の方が保険料は割安に設定されており、5年と10年契約で比べてみると5年契約の方が支払い総額は多くなってしまう可能性は高いです。
しかし、保険料の値下げや補償内容の拡充があった場合には5年契約の方が恩恵を受けやすくその点はメリットとなります。
「まとめ」
火災保険料は年々増加傾向にあり、今回の改定で過去最大となる引き上げ幅であったことから今後もさらに値上げされるだろうと予想しています。
保険料を抑えたい方は、保険料の改定がされる前に長期契約を結ぶ、不必要な補償は外しておく、免責金額を設定しておくなどをするようにしましょう。
しかし、免責金額を設定しておくことで保険料は安くなりますが、損害が発生したときには自己負担額もかかってくるので注意が必要です。
私が一番伝えたいことは高い火災保険料を支払っているのだから、ちょっとしたことでも保険を使用しましょうということです。
火災保険は自動車保険と違って、使用したからといって等級が下がることはありません。
使用しても使用しなくても、みんな同じ保険料を支払っており、使用している方だけが有効に保険を活用してお金を受け取っています。
あなたも15%の中に入るように使えるものはどんどん使っていきましょう!
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